30年間、歌誌「コスモス」で作品発表し続けた西村眞佐子さんの
90歳にして初めての歌集『黄ばめる楽譜』が出来上がりました。

私は大正11年の八月末に旧朝鮮の釜山で生まれましたので、昨年90歳を迎えました。
歌集名『黄ばめる楽譜』は今は亡き夫の永らく使っておりました、
楽譜にちなんで集中の小見出しから抽出して付けました。
―あとがきより
『黄ばめる楽譜』5首
・黄ばみたる楽譜幾度も繕ひて夫は毎日ピアノを復習(さら)ふ
・継ぐ子なき医院を閉ざし老い夫は医学書幾冊も惜しみつつ括る
・足指の骨より壺に納めゆき最後の喉仏は妻われ納む
・うつ向かせ盆の窪をば剃りくれし亡き母の膝の温み忘れず
・ベルトコンベヤーより降ろされし卵たかだかと機械部品のごとく積まるる
四六判・上製カバー装・176ページ
定価:2,000円(税込)
送料:160円